この関係を保つのか、それとも #2

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「美羽、どうした?」  美羽の顔を大河が心配そうに覗き込んだ。 「あ、ごめん、なんでもない。 手が滑っちゃったの。ほら、手、乾いちゃってるちゃってるから」  美羽は咄嗟に手を拡げて見せ、動揺する心を隠し、ごまかした。  まさか、兄の名前がこんな時に。  その名を聞いただけで、自分はこんなに動揺してしまう。  こんなに、胸が痛くなるなんて。 「兄は元気ですよ」  掠れ、震えそうな声を必死に抑え込み、平静を装い、楓花に笑顔で答えた。 楓花が、フフと笑う。 「いい男になったでしょう」  美羽の胸が、ギュッと締まった。 いい男、なんてものではない。 適当な言葉が浮かばない。 自分は今、どんな顔をしているだろう。 美羽の胸に、焦りにも似た鼓動が響いていた。 「それはもう……」  そう答えるだけで精一杯だった。
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