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「はい、ひさしぶり美羽ちゃん」
一見すると美しいが、大河にそっくりな、女性にしては凛々しくしまった大河にそっくりな女将は、にっこりと微笑んだ。
女将の名は梅宮楓花。
旧姓、緒方楓花は、大河とは八つも年が離れている姉だった。
美羽にとっては幼い頃よく面倒を見てくれた近所のお姉さんだったが、高校卒業と共に結婚して家を出、それからはずっと疎遠になっていた。
スリッパを勧めた楓花は、どうぞ、と中へ続く長い廊下へ案内した。
「大河ったら夕べ遅くに急に電話してきてね」
楓花は背の高い大河の頭を背伸びして小突いた。
「うちは基本的には前日予約は受け付けてないんだけど、美羽ちゃん連れてくる、って言うから特別に許したの」
肩を竦めて美羽にウインクした楓花を大河は慌てて制した。
「姉ちゃんっ、余計なこと言わなくていいっ!
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