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手を握り、指を絡める。微かに汗ばむ互いの肌を感じながら、美羽は忍の肩越しに窓から見える月を見た。
深夜の三日月は危うく浮かぶ。
不安定にも見えるその月に、美羽の不安が重なった。
兄の優しさは負い目だろうか? フッと美羽の脳裏に浮かんだ想いは、ゆらゆら揺れ続けている心の声。
この関係は、危ういの?
永遠に、こんな不安と闘うの?
矢継ぎ早に浮かんだ疑問は、最後の一つで尽きた。
この関係は、ずっと保てる?
美羽は、忍の胸に顔を埋め、身体に回した腕に力を込めた。
「もっと。もっとお兄さんを感じていたいの」
めちゃくちゃになるくらい――!
「美羽、少し休もう」
忍の優しいキスは、美羽の心を宵の闇に溶かしていった。
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