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交差するものは #2
「急に、どうしたのかと思ったわ。
最近、康太顔色冴えないから……」
小柄な雪江のクリッとしてキュートな二重の目が心配そうに康太を見上げたていた。
康太と雪江は、学生の時から互いを想い合いながらも、それを知っていながら、不器用な二人は距離の縮め方を知らないままここまで来ていた。
「心配かけて、ゴメン」
雪江の優しさが、康太の胸に浸みた。
雪江は康太の今しようとしていることを知っている。
「今、緒方先生がいなくなったら、僕が今まで調べてきたことが全部無駄になっちゃうんだ。
そう思うといてもたってもいられなくなったんだ。
でも、ここまできたんだけど、この先はどうやって裏付け取ったりしたらいいのかも分からないし……」
誰が、どう?
どんなやり取りが?
未だ分からないことが多すぎた。
今のままでは、どうする事もできない。
ここに来て、八方塞がりになってしまった。
こればかりは雪江にも、どうすることも出来ない。
けれど、こんなにも苦悩する大事な人をどうにかしてあげたい。
康太の泣きそうな顔に、雪江の胸は潰されそうだった。
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