交差するものは #2

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「康太……」  雪江が窓の外を眺める康太にそっと手を伸ばした時だった。 「中谷さん」  柔らかな、美しい声が雪江の名を呼んだ。 その声に主が直ぐに分かり雪江は、これは天の救いかもしれない、と振り向いた。 「綾子先生!」  雪江の明るい声に、康太も振り返った。  二人の後ろには、優しい笑みを浮かべ、白衣のポケットに手を入れて立つ辻綾子の姿があった。 「なんだか二人とも、とっても深刻そうな顔してる……」  柔らかな声は、二人の心を包み込む。  綾子先生なら。  雪江も康太も、同時に同じことを考えた。 それをいち早く口にしたのは、 「綾子先生、ちょっと聞いて欲しいお話しがあるんです!」  雪江だった。
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