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綾子から康太の話を聞いた忍は、早速そのサイトを確認していた。
「ちょっと変則ではありますけど、特殊な計算ですからね。
これ、アイツよく見つけましたね」
「斉藤君、循内で気になることを見つけたらしいのよ。
それで彼なりにずっと調べてきて、このサイトはたまたま見つけたって言っていたわ」
そう言えば、と忍は思う。
以前康太が、話しを聞いて欲しい、という旨の事を言っていた。
そんな事を思い出しながら、サイトの書き込みを精査していった忍はゆっくりと確認するように話し出した。
「アイツがこれを、ここで起きている何かと関連づけたのは、書き込みの始まった時期が、うちで倫理委員会が立ち上げられた、とか、K省の役人が動き出した、という噂が囁かれ始めた頃と被るから、ですね?」
綾子は、これから説明しようか、と思っていたことを見事に言いあてられ、目を丸くした。
「忍君、刑事さんにもなれるわね」
刑事は嫌です、と苦笑を浮かべた忍は、再びタブレットに目を落とした。
「これだけじゃ何とも言えませんが……心当たりがないわけじゃない……」
言葉の後半は呟きに近く、綾子には聞き取り難かった。え? と綾子が身を乗り出すと、忍はにっこりと微笑み、タブレットに展開していたサイトを閉じた。
「とりあえず、こちらでも調べてみますよ。
うち(循内)が大いに関わっている可能性大ですからね。
放ってはおけない」
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