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長い夜 #2
重く響く言葉が大河の胸にズシンと圧し掛った。
無関心を装うわけでも、心中を情に訴えるような言葉で吐露するわけでもない。
忍から返ってきた反応は大河の予測の次元を超えた重いものだった。
「美羽は一日でも透析を休めば命に関わる状態に陥る。
もしも、お前のこの行為が感情に任せて突っ走っただけの行為だとしたら、お前は美羽の命を脅かしていることになるんだぞ。
分かっているんだろうな」
そんなことは分かっている! と即答したかった大河だったが、忍の声から漂う凄むような迫力に、一瞬呑み込まれた。
喉の奥が乾いて、言葉が閊え、直ぐに返答が出来なかった。
「どうなんだ、大河」
回答を促す忍の厳しい声。
大河は深く息を吸い込み、呼吸を整え、浮足立つ気持ちを静めた。
自分の行為は決して感情だけで突っ走ったものではない。
美羽の身体のことは、自分だって分かっている。
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