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困惑、気まずい、そんな感情が入り交じったような、言いようのない表情を浮かべた大河は電話を持ち直した。
「とにかくこっちは心配いらないから。
大丈夫、美羽はちゃんと休ませる。
事情も話す。
ああ、明日はちゃんと透析に行かせて、それからそっちに連れていくから。
じゃあ、奈緒おばさんにもよろしく!
そうそう、おじさんもちゃんと休めよ!」
向こうに言葉を差し挟む余裕を与えぬ勢いで一方的にまくしたて、大河は電話を切った。
「おじいちゃんが……どうかしたの……?」
通話を終えた携帯電話を傍にあったテーブルに置いた大河は静かに答えた。
「心不全で、倒れたそうだ」
言葉を失い立ち尽くす美羽に、大河はそっと近づき肩を抱くと、彼女をソファーに座らせた。
隣には座らず傍に片膝を突いた大河は、美羽を見上げて、ゆっくりと一語一語丁寧に言った。
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