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「でも、大丈夫だ。さっき、意識も戻ったっておじさんが言っていた」
包み込むような温かな大河の視線を受け、美羽は少しだけ、心の平穏を取り戻す。
「おじさんから入院してる病院は聞いたから、明日俺が連れていってやるから」
優しい大河の声と言葉は美羽の心に浸みていく。
うん、うん、と涙声になる美羽はこぼれそうな涙を堪えて俯き、目元を手で拭った。
「ありがと、大河……ありがと……」
もしかしたら、祖父が倒れたのは自分のせいかもしれない、そんな不安が美羽を呑み込もうとしていた。
大河は、美羽の心情を察し、たった今電話で和也から聞いた事を話し始めた。
「美羽、大介じいさんが倒れたのは、美羽が家を出た後、そうだ、俺が美羽の家に電話した後だ。
だから大介じいさんが倒れた事に、美羽も多少なりの関わりはあるかもしれないけど、直接のきっかけにはなってない。
美羽は気にするな」
でも、と顔を上げた美羽に、大河は肩を竦めて笑った。
「もし、美羽に原因があるなら、美羽を連れ去った俺も同罪。一緒に謝ろう」
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