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「大河……」
ひざまずく大河は、そっと美羽の手を取った。
「俺は、ずっと美羽の傍にいるから」
美羽の胸が、どくん、と鳴った。
傍に。
その言葉に覚えがあった。耳元に、甘く囁くあの声は。
「そばに……」
掠れ、絞り出す美羽の声は震えた。
傍にいて欲しい、と願い、彼も傍にいる、と約束してくれた。
しかし、その真意は?
負い目によるもの?
実母の影を追っていた?
「大河は、私を見てくれるの?」
そんな言葉が美羽の口をついて出た。
大河は目を丸くして美羽を見つめる。
「美羽以外の、誰を見たらこんなことが言える?」
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