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美羽が大河の頭を優しく撫でると、大河はそのまま美羽の腰を抱き締めた。
「俺、自信がなかったんだ」
「自信?」
美羽の胸に顔を埋めたまま大河は、ああ、と静かに答えた。
「あの日、美羽の今にも折れてしまいそうなカラダを見た時、俺、壊しちまったらどうしようって。
美羽のカラダを見た時、美羽を抱いた男は、ちゃんと美羽の将来まで責任持てるような男じゃないとダメなんじゃないか、って思ったんだ。
その瞬間、俺はダメだって、今の俺じゃ駄目なんだ、って思っちまったんだ」
美羽の胸がズキンと鳴った。
あの日、大河が受けた衝撃はそのまま美羽のショックへと繋がったのだ。
美羽は、心の奥底にあった氷塊が溶解していくのを感じていた。
「今の俺なら、美羽の全てに責任持てる、だから……無責任にこんなことしてるんじゃない」
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