長い夜 #3

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 美羽の中に大河の想いが浸透する。 あの時、大河と美羽の関係に出来てしまったのは、空洞なのか。 それを埋めるものは?  自分が少しでも健康だったなら、と美羽は思う。 違う道が、違う未来が自分達の先には続いていたのだろうか?  自身の中に湧き起る数々の問いに答えを求め、必死に思いを巡らした美羽は、脳裏に微かな調べが流れたような気がした。 それと同時に過った姿は美羽の胸を締め付けた。  ラフマニノフ――。  蘇る甘い記憶が、込み上げる想いと苦しみを生む。  一緒に聴き行こう、と言った甘い声がまるで、今囁かれたように耳に残っていた。 「大河……」  掠れる小さな声に、大河は美羽の胸から顔を上げた 「美羽……?」  美羽の目から、涙が零れる。 「辛いの……苦しいの……」
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