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忘れられない。きっと、自分は忘れられない。
あの日、大河と結ばれていたとしても自分は兄に惹かれてしまっただろう。
忘れられない。
そう言おうとした時だった。
「きゃっ、大河!?」
大河が、ガバッと美羽を横抱きに抱え、立ち上がった。
「俺が、忘れさせてやる」
抱き上げられ、見上げた美羽は瞬きも、言葉を発することもできなかった。
寝室のベッドに美羽を寝かせた大河は、少し強引に美羽の着ていたものをはぎ取った。
「大河っ! やめ……」
抗う手を掴んだ大河の表情は、少し辛そうに見え、美羽は言葉を呑み込んでしまった。
「忍兄さんと美羽は、兄妹だろ?
忍兄さんと美羽の関係は、許されるものじゃない。
忘れなきゃ、いけないだろ?」
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