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「早く出たい、か、それは待ち遠しいね」
和也は、内心の憂いそっと隠し、紗羽と一緒に笑った。
縁側から平間続きになっているリビングと隣り合わせの奥のキッチンに入っていった紗羽は、お茶を淹れ始めた。
「ああ、いいよ僕がやるから」
慌てる和也に紗羽は、いいのいいの、と明るく答えた。
家は、今誰もいなかった。
静かなリビングには時計の音と、国道から聞こえる車の音。
お茶を飲みながら和也と向かい合って座る紗羽は、フフと首を竦めた。
「え、なにかな?」
和也は思わず自分の顔に手を添えた。
何か付いてるかな? と確認する。
それを見て、紗羽は、明るい笑い声を立てた。
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