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美羽が目を覚ますと、寝室は間接照明がほのかな明るさを保っており、真っ暗闇ではなかった。
微かなタバコのかおりがする室内に人の気配は無く、美羽はゆっくりと辺りを見回した。
ベッドサイドのテーブルに据えられたクリスタルの時計は、一時を示していた。
大きなベッドの横に、大河の姿はない。
そっと起き上がった美羽は、部屋の入口へ視線を向けた。
ドアの隙間から、隣のリビングで煌々と灯る光が漏れ、筋となって部屋の中に射し込んでいた。
大河、起きてるの?
美羽はベッドからそっと足を下ろした。
素足の足にひんやりとした空気が触れる。
ベッドの下に大河が用意してくれていたスリッパがあり、それを履いた。
立ち上がった時、大河から借りた大きめのシャツの下にズボンの類を着ていないことを思いだし、部屋から出ることを少し躊躇った美羽だったが、意を決し、忍び足でドアに近づき、そろそろとドアを開けた。
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