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「――ああ、分かった。明日そっちに連れて行くから」
夜景が見える大きな窓の傍で、電話で誰かと話しをする大河の後ろ姿が見えた。
肩幅の広い、背の高い後姿。
部屋着にしているダンガリーのシャツとカーゴパンツが、センスがよく決まっており、ポケットに手を入れて窓辺に立つ後姿は絵になった。
こんな時間に誰と話しをしているのだろう、と美羽は、悪いと思いながらも聞き耳を立ててしまった。
「……これからのこともう少し、美羽の気持ちが落ち着くまで待ってやってよ、おじさん」
美羽は、ハッとする。
父と話しをしていることが窺え、こんな時間にどうして? と妙な胸騒ぎを覚えた。
「ああ、美羽は寝てるよ、心配いらない。
それより大介じいさんのが心配だろ。
どうなんだよ。
意識は? そうか、それならよかっ――」
ドアがバタン、と音を立てて全開となった。
大河が驚き、振り向いた。
「美羽……起きてたのか?」
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