長い夜 #3

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長い夜 #3

 紗羽と、和也の間にあった真実?  和也は、忍の目を見、頷いた。 「僕と先に親しくなったのは、さっちゃんだった。 当時、まだ高校生だったさっちゃんはいい子で、愛らしくて、魅力的な女の子だったよ。 でも、彼女に対しては、妹のようにかわいいという感情から先に進むことはなかったんだ。 本当に惹かれたのは、後に知り合った奈緒だったんだよ。 奈緒は、ものすごい積極的であからさまなアピールをしてきてね。 それが、僕と先に親しくなっていたさっちゃんへの当てつけだってこと、薄々勘付いていたけど、常に斜に構えて妙に世間ずれしているのに、内面に消えずに残っている幼さがアンバランスに同居して危うい感じだった奈緒が、僕にはすごく気に掛かった。 どうしても、僕がなんとかしてやりたかったんだ」  忍は当時の三人の間に渦巻き交錯した感情を想った。 母の性格からして、父の言う通り、全ての始まりは嫉妬と当てつけからのものなのだろう。  和也の人となりから生まれた感情が、奈緒への愛情だった。 和也は、完璧を偽ってきた奈緒の上辺ではなく、彼女の奥底にある真の心を包み込もうとした。 本来の奈緒の姿を愛したのだ。 しかし、歪んだ奈緒の心は和也の、掛け替えの無い愛情に気付けなかったのだ。
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