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何を持ってして‘膿’と言ったのか。
見当を付けかねた綾子は父に恐る恐る聞いた。
「パパ‘膿’って、何?」
綾子の問いに父は。
「そのうち分かる」
そう答えるに止まった。
綾子は、仕事のことは一切分からない母をのけ者にそれ以上踏み込んだ話しをすることは出来なかった。
綾子の胸にはあの日以来、不安と畏れのような塊がつかえたままだった。
父との食事の席で交わされた会話を思い出しながら、綾子は賢吾の問いに答えた。
「私自身、ここでそういう話を耳にする機会は無かったんだけど、父が数日前に少し気になることを言っていたわ。
‘膿’を出さなければって……」
綾子の言葉を受け、賢吾の眉間に縦皺が走る。
「辻教授がそんなことを」
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