信じるものは #2

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 柔らかな感触に戸惑う賢吾は綾子の顔を覗き込んだ。 綾子は、賢吾の肩に顔を埋めていた。 「館山君は、正直なの。 誠実なの。 本当に嘘をつけない人なのよ。 だから、今こんなに苦しんでいるの。 でも、あなたのしたことは正しいと私は思う。 あなたを今苦しめている心に生まれた迷いは、きっと誰でもが持つものよ。 少なくとも、私はあなたという人間を信じられるわ」 「綾子先生……」  賢吾は掠れる声を絞り出し、自身の肩に顔を埋めている綾子を見た。 賢吾の声に、顔を上げた綾子はふわりと微笑んだ。 「大丈夫よ。 緒方君は、こんな事でどうにかなるほど軟じゃないこと、あなたが一番分かっているでしょう? これは、館山君が苦しむことじゃないの。 館山君は、自分のしたことにちゃんと信念を持って、自信を持って堂々としていて。 この疑惑がちゃんと解明するのをしっかりと見届けるのが、関わった者の使命なんだって、しっかりと胸に刻んでおけばいいのよ」
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