信じるものは #2

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 そうよ、と微笑んだ綾子の包み込むような笑顔を受け、賢吾は目を細めた。 「綾子先生は、最高のカウンセラーですね」  生気を取り戻したように目に力が戻ってきた賢吾に、綾子はクスリと肩を竦めた。 「医師は、みんなカウンセラーでなくてはいけないわ。 ちゃんと、患者さんの心に寄り添わなければいけないでしょう。 それより……」  綾子が、賢吾を軽く睨んだ。 「館山君は、女心が分からないのね」  睨んでも愛らしさが滲む綾子の顔に賢吾は、え? と狼狽えた。 「え、俺、なにか失礼なこと言いましたか?」  気付けば、綾子は密着したまま離れない。 我に返った賢吾は、どぎまぎし始めた。 そんな賢吾に綾子の胸に疼くような感情が湧いた。  この疼きは。 「私の、精一杯の告白、スルーしちゃうんですもの」
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