信じるものは #2

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 綾子が話した言葉を必死に頭の中で繰り返した賢吾は、一つの言葉に辿り着いた。 「付いていく、って……綾子先生……」  綾子は、頷いた。 「私、正直なところはまだ分からない。 でも、館山君のあんな姿見たくない、って思ったの。 支えてあげたいって心から思ったの。 その気持ちには、嘘はつけない。 館山君は、こんな私でも、受け入れてくれるの?」  賢吾は、伏し目がちになってしまった綾子の、肩に置かれていた手をそっと掴んだ。 初めて握った綾子の手は、細く、柔らかだった。 まるで、初めて女性の手を握った時のような緊張が、賢吾の胸を呑み込む。 深く息を吸い、気持ちを落ち着け、ゆっくりと口を開いた。 「俺の気持ちは、変わらないから。 俺は、綾子先生の視線がいつも誰を追っていたのかも知っています。 それでも、綾子先生を好きだ、って、俺じゃ駄目ですか、って言ったんですよ」  綾子は視線を上げ、賢吾を見つめた。 「今の私で、いいの?」
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