信じるものは #2

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 アナライザーという透析の機械が回り出す瞬間、ドクンという振動が身体に響く。 美羽は、目を閉じた。  今日は、目眩がする。 目を開けていると天井が歪み、回る。 美羽は、アナライザーが順調に動き出し、血液が循環を始めても仰向けのまま動かなかった。  穿針をしてくれた看護師が、今日は美羽の体調が思わしくない為、計器観察で傍にいた。 目を閉じたまま眉根を寄せて動かない美羽に、看護師は心配そうに話し掛ける。 「美羽ちゃん、大丈夫? 今日は本当に辛そうよ」  声を掛けられて、美羽は目を開けた。 「大丈夫です、今日はちょっと目眩がするけど」  目眩か……、と看護師は美羽の血圧を確認する。 「低いわね……」  小さく呟き、カルテに何か書き込んでいた。 「美羽ちゃんて、透析になった直接の原因は腎不全じゃなかったわね。 心臓の方だったわよね」  美羽は、はい、と小さく答えた。
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