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企業系の案件を専門に扱う弁護士事務所でも敏腕とされる女性弁護士、戸叶瑠奈は、大河のデスク脇にモデル立ちしていた。
長い足を存分に強調させるミニスカートにピンヒール。
胸元に弁護士バッジが付いていなければ、一見すると夜の蝶だ。
電話をしていた相手に断りを入れて切った大河はようやく瑠奈を見上げた。
瑠奈は、大河と視線が合うと、デスクに手を掛け軽く媚態(しな)を作って見せた。
「最近ご無沙汰だけど?
別のとこに行ってるの?」
含みを持たせた言葉を瑠奈は色っぽく囁いた。
大河はタバコを手にし、一本取り出しくわえ、言った。
「落ち着き先を決めたんだよ。
フラフラすんのはやめた」
「落ち着き先?」
「ああ、ずっと探してた。
やっと、見つけたんだよ」
そう話しながらタバコにライターで火を点けた大河は、美羽に連絡をしていなかったことを思い出した。
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