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土曜の夜、年末の病棟は外泊の出来る患者は家に帰らせたり、と普段より少しばかり静かだった。
しかし、急患は時節を問わずやって来る。
循環器内科のナースステーションに一本の電話が入ったのは、夜九時を回った頃だった。
「緒方先生! 救急に心疾患の急患が来るので下りてきてくださいって、ご指名です!」
電子カルテを開きながら研修医の斉藤康太に講釈していた忍は顔を上げた。
「どこから?」
傍に置いてあった聴診器を首から掛け、康太にこの後のことを指示しながら忍は看護師に聞いた。
「それが、都内からなんです。
なんでも、うち宛の紹介状を持っていたみたいで」
都内から? 忍は怪訝な顔をした。
「時間、大丈夫なのか」
救急の患者は殆どが時間との勝負だ。
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