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黛は、妻を迎えに行く決意をした。
日本に、無事帰って来られるかも分からない、そんな場所へ。
「外務省から注意喚起は受けたよ。
でも、迎えには行かないと」
そうか、と忍は深い息を吐いた。
大事な、掛け替えの無い友人。
「ちゃんと、帰って来いよ」
「当然。
帰っきたら、まず最初に緒方に連絡するよ」
にっこりと優美な笑みを見せた黛に、忍も微かな笑みを返した。
じゃあそろそろ、と立ち去ろうとした黛を、忍は止めた。
「悪い、一つ聞くのを忘れていた」
「なに?」
首を傾げた黛に、忍は聞いた。
「美羽は、完全に一人だったか?
連れがいた様子はなかったか」
黛は、何故そんなことを? という顔をしてみせた。
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