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ボルドーの上品なレザージャケットに、スリムなパンツを合わせ、足元にはショートブーツが納まる。
抜群のスタイルは、高級ブランドのファッション雑誌から飛び出してきたモデルのようだった。
彼は、美羽の近くまで来ると上品な笑みを浮かべ、言った。
「やっぱり、緒方は来られなかったみたいだね」
美羽は、瞬きも忘れ、彼を見入った。
「黛先生……どうして……?」
それ以上の言葉は出て来なかった。
よろけた美羽を見ていた黛は、大丈夫? と手を差し出しながら言った。
美羽は黛の手を取り、倒れそうだった身体を起こした。
「体調、悪そうだね。
無理して出て来たのかな?」
美羽を近くのベンチに座らせ、顔を覗き込んだ黛は心配そうに聞いた。
美羽は小さく首を振った。
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