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「それは……どういう意味ですか?」
やっとの思いで、率直な想いを口にした。
「言葉通りの意味だ」
手元の作業を再開した忍は顔を上げずに言った。
「でもこれは……!」
このオーベンだけは他の医師と違うと思ったのに! 康太は胸中で叫んでいた。
こんな、得体の知れない裏でのやり取り、放っておいていいはずがない!
「こんなこと、ちゃんと解明しなければこの先きっともっと……!」
「斉藤」
カンカンに熱せられた石に冷たい水が一気に掛けられたように、熱くなる康太の言葉を忍の冷静な声が遮った。
再び椅子の向きを変えて身体をこちらに向けた忍に真っ直ぐ見据えられ、康太は行き場を失った言葉を持て余しながら呑みこんだ。
忍は、静かな低い声で話し始めた。
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