真相は闇 #2

15/16
前へ
/35ページ
次へ
 再びパソコンに向かった忍は、続けて言った。 「ともかく、今回の件、お前はもう一切関わるな。 話しはこれで終わりだ。 早く病棟に戻れ」  忍はそう言った切り、もうこちらを向こうとはいなかった。 端正な横顔はこれ以上の会話を拒絶している。 康太は頭を下げて医局を後にした。  病棟に向かう深夜の廊下は静まり返り、冷え冷えとした空気が薬品の匂いと溶け合い、少し不気味な空間を作り出していた。 時折どこかから微かに聞こえるパタパタという足音が、看護師の足音か医師の足音のはずなのに‘それ以外の者’に思えてくる。  康太は、森閑とする薄暗い廊下を歩きながら、忍が見せた表情を思い出していた。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加