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何を、考えていたのだろう。
あの時は深く考えず、言葉の意だけを考えたが、今になって表情に隠された真意がなんだったのか、気になりだしていた。
不意に、今、実しやかに囁かれる噂が康太の脳裏に浮かんだ。
緒方先生は本当にここを辞めるつもりなのかもしれない。
そう考えた時、康太はハッとした。
だから、今回の件、自分でケリを付けようとしているのかもしれない!
立ち止り、医局の方を振り返った。
しかし、今ここで引き返して彼に問うたところで返答が返ってくるとは思えない。
康太は、胸が締め付けられる想いで俯いた。
緒方先生は身を持って、僕に教えてくれようとしているんだ――。
真相は未だ闇の中。
忍の今しようとしている事は、まだ誰にも分からなかった。
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