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忍がICUに戻ると、美羽の傍で医師と看護師が話しをしていた。
美羽は変わらず、人工呼吸器と無数の管に繋がれたまま静かに眠っている。
容体は、今は安定している。
「どうした」
傍にやって来た忍に気付いた医師が顔を上げた。
「ああ、緒方先生、今お呼びしようと思っていたところです。
妹さんの透析をどうするか話していました」
忍は、ああ、と思う。
それが問題だったのだ。
「金曜日に抜き切れなかったみたいだな」
「そうなんですよ。
だから今日やらないと駄目なんですけどシャントからは無理じゃないでしょうか」
眠る美羽の左腕をそっと取った忍は、手首から肘までの間を指でなぞり、血管の状態を慎重に探った。
「そうだな、シャントは無理だ」
「どこにしますか。中心静脈?」
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