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「突然変わった兄の美羽への態度は、僕は正直驚きましたけど、考えてみたら兄と美羽は、家族の中で他人のように過ごしてきた間もずっと、見えない何かで繋がっていたのかもしれない、って今になって思いますね。
兄と美羽の間には見えない絆みたいなのがあったように思えてきて」
見えない絆、か、黛は、目を閉じた。
あの二人の間には、誰にも見えない時流があるのかもしれない。
それは、誰も侵すことのできない時空。
静かに物思う黛に、誠はそっと語った。
「僕ら兄妹の中で、美羽を一番かわいがってきたのは篤です。
僕は美羽と年が近い分、一番遊んだけど、一番ケンカもした。
僕らと美羽は本当に真の兄妹です。
僕の中では、美羽は本当に可愛い妹です。
でも、そう考えた時、そういえば、て思うんですよ。
兄は、敢えて美羽と関わらずに壁を作ってきたのかもしれないって。
美羽と特別な距離を置いてきたのかもしれないって」
誠の言葉を聞き、黛は感じたことを口にした。
「誠君は、随分早い時期にお兄さんと妹の関係を受け入れたのかな?」
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