真相は闇 #2

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 黛の問いに誠は素直に、はい、と頷いた。 「僕が兄の中に初めて見た、人間らしい感情だったから、だと思います。 僕にとって、あまりに完璧で畏怖を超えて脅威となりつつあった兄が、初めて見せた弱い面だったんです。 だから、僕は兄の感情を素直に受け止めて、見守ってきたんです。 それに、美羽にとってだって、兄ほどに相応しい男はいないと思ったから。 でも、そこは世間的には兄妹なんだし、そのまま平行線を辿ってくのかなって思っていたんですけど」  一気に話した誠は、最後に苦笑いを浮かべた。 「兄はやっぱり男でした」  ああそういう意味か、と黛も苦笑いを浮かべる。 車は外環道を経て首都高に入っていた。  走行する車が一気に増え、分岐の表示も増え、景色はめまぐるしく変わる。 流れに乗る車は、車線変更を繰り返し、都心へと向かっていた。 誠は前を向いたまま、言った。 「黛さん、池之端でしたよね」  車窓に移り込む高層ビルの明かりを見ながら、そう、と答えた黛は、静かに誠に話し掛けた。 「僕は、しばらく日本を離れなければいけないんだ」
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