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誠はハンドルを握りしめ、チラリと視線を送り、
「そうなんですか!?」
と驚愕の声を上げた。
視界の端に、静かに頷く黛が見えた。
兄にとって、誰よりも信頼する、恐らく家族の誰よりも心の底を見せる相手。
その友人がしばらく遠くに行く。
それが何かを暗示するかのように誠の胸に不安が過らせた。
言い知れない感情に言葉が見つからず黙ってしまった誠に、黛は言った。
「僕がいなくても、アイツには、こんなに理解してくれる弟がいるってこと、知れて良かったよ」
思いがけない言葉に、誠は思わず顔を真横に向けそうになった。
直ぐに今自分が高速道路を走行する車を運転していることを思い出し、視線を一瞬送るに止まった。
黛は、優しく言葉をを継いだ。
「アイツの話し、聞いてあげてよ。
キミなら大丈夫だよ」
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