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深夜の静寂に包まれた医局で、忍はパソコンを繰っていた。
美羽の容体が安定しているうちに、夕方気付いたパソコンの異変を少し調べることにしたのだ。
自分がいない間に操作された形跡の残るパソコン。
何に、何処にアクセスしたのか、という足跡さえ見つかれば良いのだが、と考えていた。
気になるものを見つけ、おや? と忍の手が止まった時だった。
「緒方先生」
聞き慣れた声が遠慮がちに忍を背後から呼んだ。
「どうした、斉藤。
病棟にいろ、と言っただろ」
パソコンの画面を見つめたまま言う忍に康太は、すみません、と言いつつも少し食い下がった。
「どうしても、先生に話しておきたいことがあって」
「話しておきたいこと?」
そこで初めて忍はパソコンから視線を切って、顔を上げ、康太を見た。
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