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半日前に起きた仕事上のミスから、まだ立ち直りきれていない康太の顔は暗かったが、目の奥には強い意志が光る。
康太の真剣さを見て取った忍は、手を休め真っ直ぐに彼を見た。
回転椅子を半回転させ、身体もしっかりと康太と向き合う体勢になり改めて言った。
「話してみろ」
はい! と答え姿勢を正した康太は、端的に伝わるよう順序立てを考え、ゆっくりと話し始めた。
「あの、先日綾子先生を通してあるサイトのことお伝えさせていただきましたよね」
忍が、ああ、と頷くのを確認し、康太は続けた。
「あのサイトが、今日突然アクセスできなくなったんです。
サービスの一時停止、ということみたいなんですけど……実は夕方、そこの管理運営会社の知り合いの社員から電話を貰ったんです。
話しを聞いてみると、何の前触れもなく、いきなり捜査二課の家宅捜索を受けたそうです。
それで、まだはっきりとしたことは分からないんですけど、そこの社員の一人と連絡がつかなくて、その社員というのが、製薬のN社の関係者らしい、ということが分かってて――、」
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