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真相は闇 #2
誠は前を向いたまま、肩を竦めた。
さすがはあの兄の親友。
鋭い。
誠はハハ、と自嘲気味に笑った。
「あの兄は、僕にとっても、僕の直ぐ上の兄にとっても子供の頃から絶対に逆らえない存在だったんです」
ああ、篤君ね、と言った黛に、誠は頷いた。
「今思えば、僕も篤も完全に兄の下僕でしたね。
ああ、僕なんかは今でもですけど」
クスクスと笑いながら黛は言った。
「アイツは物事を押し切る力を持ってるね。
どんな時も周りを納得させてしまう力をね」
「そうなんですよ。
僕らは兄に対して、まあ多少の不服はあったけど、反感持ったりはしなかった。
嫌いと思うこともなかった。
兄のすることはいつだって間違ってなかったから、かな。
でもそれは‘正しい’とは違う。
兄にはすごい信念があって、芯が通っていて。
その上での言動だって、僕も篤も分かっていたから」
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