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目覚め #2
誠は苦笑いを浮かべて頭を掻いた。
「まこちゃん?」
急に歯切れが悪くなった誠を、美羽は疑問符の浮いた表情でじっと見つめた。
澄んだ黒い瞳に見入られ、誠はためらいがちに口を開いた。
「大河の、こと」
美羽の胸が、とくん、と大きく波打った。
そうだ、自分は大河になんてことを。
「たいが……」
名を口にしてみた時、大河の声が、姿が蘇り、美羽の心を揺さぶった。
急に目を泳がせた美羽に誠は、あのさ実は、と話し掛けた。
「大河、美羽が運ばれた夜に父さんから連絡受けて駆け付けてくれたんだよ」
美羽が、え、とまた身を起こしかけ、誠は腰を浮かせてそれを制した。
「でも、美羽には会えなくて、それどころか……」
そこで誠は言いにくそうに言葉を切った。
「それどころか?」
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