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なぜか、美羽の兄、忍が無縁ではないような気がしてならなかった。
瑠奈の話は続く。
「元はといえば、なぜこの疑惑が浮上したか、というところから突き詰めないといけないって、色々探るうちに分かったわ。
今回のことは結構根が深いのよ」
「根?」
怪訝な顔をした大河に瑠奈は頷いた。
「元々は、この新薬絡みの医療過誤による密告から始まったんだってこと、私K省の役人からやっと聞き出したわ」
とうとう奥の手を使ったか、と大河は瑠奈を見て苦笑したが、今はその話はやめよう、と口を噤んだ。
「医療過誤って?」
瑠奈は、組んでいた足を組みかえて、ゆっくりと話し始める。
「この新薬、心臓の治療に使われる画期的なものだったみたいなんだけど、その効用ばかり注目して副作用は殆ど報告されていなかった。
でも、開発や臨床実験に使った莫大な費用を取り返すことしか考えてなかったのかしらね、製薬会社はあの手この手でこの薬を売り込んで、医者達はこぞって使うようになった。
結果、出ないわけがない副作用はもみ消されて、ほとんど公表されてない。
それどころか、患者にも話されていないんじゃないかって。
つい最近になって誰かがこれはおかしい、って声を上げた。
そこから水面下で調査が始まって現在に至ってる、というのが私的見解」
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