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ごくろうさんです、と大河は膝に手をつき、頭を下げた。
「恐れ入ります。さすがは敏腕弁護士」
「なにも出ないわよ」
瑠奈はからからと笑った。
「とりあえず、N社は防御硬いし、あそこはうちよりデッカイ事務所が顧問で言ってみれば像と蟻よ。
ヘタに手は出せないから私が出来るのはここまでよ。
まさかN社と闘おう、ってことはないでしょ?」
「んだよ、ここに来て諦めろとか言うな。
うちは寺原のヤロー通してだけど実質はN社から損害蒙ってんだ。
証拠掴めた時には考える」
大河は憮然と答えた。
瑠奈は、あら~、と言いながらもニッと笑った。
「大河ならそう言うと思った。
そんなとこが好きなんだけどね」
そいつはどうも、と大河も口の端を上げて不敵に笑う。
「分かったわ。
出来るだけのことはする。
でも、そっちでヘタに動いちゃだめよ。
ともかく今は立ち直すこと考えてね」
立ち上がった瑠奈を見上げ、大河は、さんきゅ、と答えた。
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