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「美羽……今度こそ、俺が美羽を自由にしてやるから」
「今度こそ……?」
言葉の意が汲み取れなかった美羽に、忍は優しく語り掛ける。
「四年前、俺は美羽を救えなかった。
でも今度は違う。
今度こそ、俺が美羽を自由にしてみせる」
美羽の羽根を捉える‘病’から、美羽を解放してみせる。
もう、負い目などという言い訳をしない為に。
忍の、美羽の手を握る手に、微かに力が込められた時だった。
「バイタルはどうでしたか?」
「安定してましたよ。
受け答えもしっかり出来て、錯乱もせん妄もないです」
廊下から看護師と話しながらこちらに来る誠の声が聞こえた。
美羽の手と忍の手が名残惜しむようにスローモーションで離れる。
美羽は最後の指が離れた時に言った。
「お兄さん、ナースステーションから来たんじゃないの?」
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