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忍は、小さく首を振る。
「今、ちょうど回診中だった」
「そうだったの……」
酸素マスクをした美羽の顔が、ふわりと笑った。
「よかった……お兄さん……」
忍がそっと美羽の頬に手を添えると同時に入口のカーテンが開いた。
「あらっ、ちょうどよかった緒方先生!」
元気な看護師の声が病室に響き渡った。
*
家宅捜索に押し入られてからてんてこ舞いだったオフィスも、やっと落ち着きを取り戻し始めていた。
閉鎖してしまったサイトはそのままだったが、他の業務はとりあえず以前と変わらぬ形態に戻っていた。
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