瓦解 #2

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 奈緒の、苦悩の根本にあるものはまだ美羽は知らない。 しかし、奈緒の冷たく厳しい態度の原因には、美羽の知るものもあった。  幼い日には、紛れもなく母は、母だった。 美羽は意を決したように目を閉じた。  母が心穏やかになれるのなら――。 深呼吸をし、ゆっくりと口を開く。 「お母さん、私とお兄さんは兄妹だから。 それ以上のことはもうないから。絶対に」  美羽は今、覚悟を決めたのだ。 兄への想いを断ち斬る覚悟を。 しっかりと口にし、言葉にすることで胸に刻んだ。 しかし同時に、美羽の胸には引き裂かれるような激しい痛みが走った。 改めて、兄との決別を決意しなければいけない現実。  どうして、私はお兄さんの妹になってしまったのだろう。  兄を、愛していたのに。 皮肉にも、口にした瞬間、自らの想いを再確認してしまうことになった。
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