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「俺は絶対、美羽の傍から離れないから。
ずっと、守ってやるから」
肩を震わせてそう言った大河の頭を美羽は撫でた。
美羽は握られた手を握り返し、大河の目を覗き込み、言いにくそうに、すまなそうに言った。
「私、また、大河のこと傷つけるかもしれない。
失礼なこと、するかもしれない。
それでも、いいの?」
大河は目を伏せ、力強く答えた。
「美羽の全てをひっくるめてこそ、美羽だろ。
ほんの一部分なんて、美羽じゃないだろ。
俺は、全てひっくるめた美羽と生きるって言ってるんだよ。
そう決めたんだよ」
「大河……」
美羽は両腕を伸ばして大河を求めた。
大河はその腕の中に納まり、横たわったまま起き上がれない美羽の顔を抱いた。
「ありがとう……ずっと私の傍にいてね。
この手を……私を離さないでね」
美羽の少し掠れてはいたが柔らかな声に、大河は、ああ離さない、と答えた大河は言う。
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