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「君とこうして巡り合ったのは運命と思っていたよ」
忍は一気に警戒し、身構えた。
その言葉に、二重にも三重にも込められた意を感じた。
原の言いたいことが、刃となって、その尖頭が自らの首元に突き付けられたようだった。
「君と僕とは、運命共同体とは、思わないかね」
微笑む顔の中で、目だけが冷たい光を放つ原に、忍は同様の笑みを返した。
「光栄ですね。
先生が僕をそのように思ってくださっていたとは」
要するに、自分をそこまで思っているのだ、というカードをちらつかせ、この先の行動を封じよう、という事か。
「私の言いたいことは、分かるね。
君の将来の為にも」
「僕の将来?」
ゾクリとさせるような低く感情のない声だった。
今度は原が警戒に身構える番だった。
忍は、クッと笑って肩を竦めた。
「先生、運命共同体、という先生のお言葉なのですが、〝死なばもろとも〟と同義語とは思いませんか」
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