自己の責任に於いて

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 森閑とした部屋の中、原が固唾を呑む音が聞こえたようだった。 酸素が半分になったかと思えるほどに重い空気が充満する沈黙の空間で、忍がゆっくりと口を開いた。 「銃口は、互いの心臓を狙っていますよ、先生。 僕は先生と刺し違えるくらいの覚悟でいますから」  弟子である以上。 康太に説いた通りのことだ。 自らの正義を貫く時、必ず血を流す人間がいる、それは自分でもいい。 そして、自分を育てた人間も、同じ。  暫しの沈黙を経て、原が静かに言った。 「できるのかね、君に」  原の言う〝できるのか〟が指すものは、水面下で認められ、まかりと通ってきた暗黙の不正に対する告発のことと思われた。  忍ははっきりとした口調で答える。 「前にも申し上げましたとおり、僕は熱いイデオロギーを持つような人間ではありません。 しかしながら、目にしてしまった不正を黙殺するほど、甘い人間でもありません。 僕はもともと、曲がった事は嫌いな人間なんですよ」
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