ミルテの花

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 深大寺の境内から植物園まで道は、登り坂が続く。 「大丈夫かね」  心配そうに伺う靖史に沙羽は、息を切らせてはいたが「大丈夫」と気丈に微笑んだ。 「だって、先生と一緒なんですもの」  靖史は切なげに目を細めた。 今すぐにでも抱き締めたい感情を堪え、握る手に微かな力を込めた。
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