16人が本棚に入れています
本棚に追加
「和葉とあんたが知り合うことになるとはね」
「朝花から聞いたことあるなーって思って、もしかしてーって思ってたんだよね」
ほら、名前と学部聞いてぴーんときた、と皆川くんがにこにこと楽しげに梅ちゃんを見る。
先ほど皆川くんが、ふと梅ちゃんを名前呼びしたとき、私は察した。
この人が……。
「あ、じゃあ蜂谷の隣の部屋っていうことも知ってるの?」
「さっき確認したところだよ」
「周りをよく気にするよね、あんたって」
「まあーね」
頬杖をついて淡々と話す梅ちゃんと、椅子に凭れながら腕を組んで飄々とこたえる皆川くん。
その間に挟まれるようにして4人用の席に座って向かい合う、私と蜂谷さん。
なんだろう、この喋る人は喋る、話さない人は話さない、っていうすごく落ち着く感じは……。
「で、なんで和葉と蜂谷くんが一緒にいるの?」
私が入学式から今朝まで、蜂谷さんを意図的に避けて生活してきたことを知っている梅ちゃんが、きょとんとした顔できく。
「……えっと、マンションのエレベーターで偶然一緒になって、」
「その時点で避けなかったんだ?」
「…何故か避けなかったんだよね……で、乗ってみたらエレベーターが故障して出られなくなって……」
なんやかんやで一緒に大学まで来ました、と説明すれば、梅ちゃんはなるほどね、と呟きながらバックを漁り始める。
「はい、これ。今日の講義のコピー」
「梅ちゃん…ありがとうございます……」
「不運だったね、今日は」
そう優しくルーズリーフを渡してくれた梅ちゃんから、ルーズリーフを受け取る。
途端、梅ちゃんが「あとでいろいろ話きくわよ」と小声で言ったので、私も梅ちゃんに聞きたいことがあるんだよね、と思いながらこくりと頷く。……まあ、その前に少し聞くけど。
最初のコメントを投稿しよう!