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「皆川、そうやって連絡先集めてく癖やめろよな」
「癖って、いつもとは違うよ?」
「…………皆川が折原さんの番号聞く必要ある?」
「だって……朝花が連絡拒否る時あるからさ、伝言を頼もうかと」
蜂谷さんがそこで、ぐっと唇を噛み締め、はあ、とため息を吐く。
そして少し俯いたかと思えば、急に顔を上げ、皆川くんを睨んだ。
「それだったら、俺が折原さんの連絡先きいて伝言するから。皆川が悪用しそうで嫌だ」
「……ふーん? それだったら、いいよ」
「……なんだよ」
「べーつにー」
不敵な笑みを浮かべる皆川くんの肩をべしっと叩き、蜂谷さんは無地で黒いトートバッグの中からスマホを取り出し、なにやら操作をしてからぱっ、と私と目を合わせる。
いきなり目があったのでドキドキした私は、瞬間的に気を紛らわすために人通りが多い庭が見える窓の外へ視線を移し、また戻す。
……心臓に悪い。
「連絡先、教えてくれない、かな?」
「……うん、いいよ」
彼は私の返答を聞くなり頬を少し赤くして、ありがとう、と破顔した。
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