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「折るに草原の原で折原?」
「うん、そう。それで、和むっていう字と葉っぱの葉で和葉。……変わった名前だよね」
「い、いえ……とても素敵だと、思い、ます」
「……へっ、あ、うれ、嬉しいです……」
途中から若干おかしいことに気付いたのか、蜂谷さんが再び頬を赤く染めたので、つられて私も恥ずかしくなって俯いた。
その瞬間、なにかが動き出すような衝撃音がきこえて、私たちはばっと顔を上げる。
突然エレベーターのドアが開いて、ドアが開いた向こうに業者の人が二人ほど見えて安心した。
「すみません、この度は弊社の不手際でーー」
「いえ、大丈夫です。怪我してないので。あ、どのくらいで復旧されますか?」
「一週間ほど点検と工事にかかると思われるので…それまでは申し訳ありませんが階段をお使いください」
「わかりました、住民の皆さんに向けて張り紙しておきます」
マンションの管理人さんと蜂谷さんが業者さんと話している間、私はこのマンションにおいての事情を知っている友人に、講義遅れるから大まかな内容あとで教えて!、とメッセージを送っておいた。
梅ちゃんのことだから、ノートはほぼ取っていると思うから、そっちの心配はいいんだけど……。
問題は、私と蜂谷さんが同じエレベーターに乗っている最中に、エレベーターが止まって密室状態になった、ということが同じ大学の人にバレないかどうか。
話し終わった彼が「行こっか」と言ったので、私は丁重に断る。
「すみません、私……蜂谷さんと一緒にいったら、いろいろ言われてしまいそうなので……」
「……そっか。そうなんだ、ごめん」
「ううん、大丈夫。さ、蜂谷さん先にーー」
私より先に行くよう促すと、彼はにこりと笑った。
そうして歩き始めた彼の背中を見送ろうとしたそのとき。
「一緒に行こう」
「……はい?」
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