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私と蜂谷さんは、それぞれが受ける予定だった講義の担当講師、双葉先生と浅岡先生に事情を説明したあと、カフェテリアに向かった。
何故かわからないが、蜂谷さんに「会ってもらいたい人がいるんだ」と言われたので、私はそれに従うことにした。
蜂谷さんは、私と同じく3限目にまた講義があるらしいので、まだ1時間くらいはお互い時間がある。
梅ちゃんにあとで連絡を入れよう、と思いながらカフェテリアに入れば、すぐに「こっちこっち!」と呼ぶ声がきこえた。
蜂谷さんと正反対で、茶髪の癖っ毛が目立つ男子がこちらに手を振りながら、ニコニコと笑っている。
「皆川、声大きい」
「だってさー、蜂谷が女を連れてくるなんてそうそうないよ?」
「女って言うな、生々しい」
「わあー蜂谷が怒ったーめーずらしいー」
「別に珍しくないだろ」
「でも女のことで怒ったのは珍しいーよー?」
「普段話すことないからな……って、あ」
繰り広げられる男子トークに入れずにいると、蜂谷さんがぼーっと見つめる私に気付き、勢いよく振り返って頬を赤く染める。
「ごめん、……えーっと、これが、俺の友人の……」
「あ、どーも、皆川志月といいますーよろしくねーどんな呼び方でもいいよー」
「……折原和葉っていいます、はじめまして……」
「なんて書くの? 学科どこ? 専攻なに?」
「えっ、えっと……」
明らかに面白がっている皆川くんに対して、蜂谷さんは「皆川うるさい」と怒る。
それに対して、ごめんってー、と悪びれる素振りを見せる皆川くん。
なるほど、この二人だとこういう会話で……。
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